遺書を残すと言うこと

遺書だなんて縁起でもないと思うなら、後に残された家族や友人への思いやりがいささか浅はかとも受け取られてしまいかねません。と言うのもまったく遺書を残さないまま亡くなった例として考えたくもないのですが、兄弟や子どもたちまたは親戚の間で実際に骨肉争いが起きているからです。自分には資産はないという人でも日頃から宝のように大事にしていたものが、1つでもあるならそれは立派な遺産です。

家族がないという人も自分が死んだ後の荷物を誰が、どのように整理するのかを考えてみた時に、心の深いところでもやもやとしたものが浮かんでくるようなら、やはり遺書は簡単でも良いので残しておいた方が良いと感じるはずです。遺産は相続対象にしかわたりませんから自分を大事にしてくれた家族や友人は手にできませんし、内縁の伴侶はましてや遺産の対象外でまったく疎遠の本妻に遺産の半分を持っていかれてしまうのです。まさに死人に口なしです。遺書は資産の分配だけではありませんから、生前言えなかった感謝の言葉を残しても良いのです。

具体例にこのような事があります。生前仕事の合間に世界中の切手を集めるのが趣味という男性がいて、妻にさえ内緒にしていました。病気で急死してしまい遺品整理をし始めた時に初めて家族に発見されましたが、切手の価値がわからない家族からそのまま焼き捨てられるところを、切手に詳しい友人によって本にまとめられたとたん、またたくまにベストセラーとなりました。運良く価値がわかる友人に発見されたからいいものの、さもなければとっくに失われていた遺産です。遺書だなんて縁起でもないなどの固定観念は捨てて、きちんと後に残された家族のためにもしっかり残しましょう。